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しかし、現在では、単なる映画祭の枠に留まらず、映画コンペティション「PFFアワード」を中心に、“新し
い才能”を発見し、紹介し、育成していくなどの活動を行っています。
そして、その活動を通じ、日本映画の活性化を推進していく。
それが、「ぴあフィルムフェスティバル」なのです。

1977年に開催した「第1回ぴあ展」の一企画「'77自主製作映画展」として発足。一般公募で集まった自主製作
映画を選定・上映する、「ぴあフィルムフェスティバル」の自主製作映画部門です。
1988年より「PFFアワード」と呼称し、コンペティションとして新たな展開を始め、今日まで新しい才能を発
見し、紹介し続けています。
これまでに「PFFアワード」で紹介した多くの監督たちがプロの映画監督として第一線でご活躍され、新しい
才能が集う場所として広く認知されるようになりました。
革命前夜・つめたいあたたかい・それから明日が
監督:志子田 勇
【女子高生のたった一人の「革命」が成就する喜びを祝福とともに描く】もやもやとした苛立ちとともに、満たされない精神状態が続く、受験を控えた女子高生。彼氏からの電話に応じてアパートに遊びに行くものの、二人の間に会話はほとんどない。アパートを後にする彼女。だが、ついに解放の時が衝撃的に訪れる。
人があまり見せたくないものをストレートに表現する。まるで、キム・ギドクの世界観のようなものもチラリと感じさせながら、ヒロインにとっての「革命」が達し得た後の幸福に満ちた様子が、映像全体から伝わってくる。20分強の短い作品ながら前半の寂寞感から後半の疾走感への展開は巧みだ。色彩と音へのこだわりも非常に効果的で、見る者に共鳴を覚えさせるのに成功している。
2006年/ビデオ/23分/カラー 英題:Revolution Eve of the Wet Girl
監督・脚本・編集:志子田 勇
撮影:高木風太 音楽:森谷将之、松野 泉 録音:森谷将之
助監督:保木明元 照明:浅川 周
出演:山根千枝、駒井隆二、門村伊奈子



監督:成冨佳代
【無駄な台詞を極力排し、主人公と街そして人との結びつきを見つめる】
ショーフロア(chaud froid)なオードブルほど贅沢なレシピはない。普通なら冷製もしくは温製と明確に分けられるメニューも、例えば冷たいサーモンに熱々の野菜ソースをかけるといった具合に、風味の幅に広がりが生まれるのだ。この映画のテイストもまさしくそう。妻に先立たれた父親が単身赴任のため、姉と二人暮らしの女子高生・陽(ハル)。父のためにマフラーを編み続けているが、ある日、彼女は父の再婚話を聞かされる。台詞を極力排し、まるで定点観測のごとく、陽が乗る都電が冬の街を走る風景が映し出される。同じ冬の日でも、冷たい雨の夜と、眩しいくらいの光が射し込む昼間の車内etc。表情豊かに主人公に優しく微笑みかける街も人も美しい。
2006年/ビデオ/27分/カラー 英題:Winter Thaw
監督・脚本・編集:成冨佳代
撮影:伊藤裕満 制作:山田晃久
出演:藤江莉莎、高橋 牧、麻生大輔



監督:仲 美由希/藤澤茉衣子
【のびやかにゆるやかに大人への階段を上っていく】
一人暮らしをする従兄弟の部屋に居候を決め込む女子高生・宏美。学校も休み、ブラブラしながら過ごす毎日。実は従兄弟にほのかな想いを抱いているのだが、そんな気持ちを口には出せない。それなのに大好きな従兄弟は、自分よりも飼い犬の散歩相手に夢中の様子。しかもその相手は男子なのだ。宏美は自分の気持ちに正直になろうと、ある作戦を計画する。少女の成長物語で欠かすことができないのは、心の揺らぎをどう演出していくかだが、ヒロインの何気ない仕草を自然にとらえながら、心象風景がしっかりとカメラに収められている。昨今メディアを賑わす悲惨極まりないニュースとは対照的に、家族や周囲の人間から見守られる喜びをひしと感じさせる物語だ。
2006年/ビデオ/60分/カラー 英題:And, Tomorrow Comes
監督・脚本・編集:仲 美由希、藤澤茉衣子
撮影・音楽:仲 美由希 音声:藤澤茉衣子
出演:宇野香苗、吉田咲希、長崎隼人、髙橋知里、辻 大志、新居裕久



幸福なる食卓・深海から来る音・シねない奴・パラレリズム
監督:タテナイケンタ
【練り込まれたストーリー構成で、ありふれた愛の形の本質を見せる】
中年女性の一途な思い。果たしてこれは愛と呼べるものなのか? 好きな男に対し、全身全霊を込めて料理に励むその姿。一縷の希望。だが、それは男にとってはたまゆらの関係にしか思えなかった。ひと昔以上前に、流行った映画のタイトル。『蜘蛛女のキス』『蜘蛛女』。何とも意味深である。男に手料理を食べさせることが、究極の愛の表現だと信じていた女。たまたま付き合っていた彼女との関係が芳しくなか、「蜘蛛女」の放つ網に引っかかっただけの男。カノン曲をBGMに女にとっての至福の喜びが表現され、やがて、彼女の落胆と共に、残酷なまでの人間の本質が浮かび上がってくる。良質のフランス映画を思わせる大人のための映画である。
2006年/ビデオ/50分/カラー 英題:Set Your Table
監督・脚本・編集:タテナイケンタ撮影:ボクダ茂 音楽:榊原正吾 録音:與語哲士、長尾風汰 制作:森野奈津子 製作:蓼内耕太 出演:篠原あさみ、加藤雅人、鈴木あゆみ、植田祐介、山田清孝、汐月由奈、ボクダ茂



監督:水本博之
【B級テイストの香りも心地よく残しながら、全編に充溢する創造愛】
東京で何か起こっているらしい。そんなことは露も気にせず、ミュージシャン仲間2人は脱退したメンバーの代わりに、キーボードを持ち歩くバイカーと意気投合。3人は海に向かうが、彼らは背後に異様な影が迫りよっていることにまだ気づいていない。‘60s特撮TVヒーロードラマの金字塔『ウルトラセブン』のなかでもカルト的人気の高いエピソード「ノンマルトの使者」を彷彿とさせる人類への警告のメッセージにも似た何かが、この作品には感じられる。背後に流れるノイズミュージックとの境界線も曖昧なままに、監督自らが造型したというクリーチャーと登場人物との邂逅も思わせぶりだが、表現する喜びが全編から伝わってくる。
2006年/ビデオ/20分/カラー
英題:The Destruction Sounds of the Monster from the Deep Sea
監督・脚本・撮影・編集:水本博之 音楽:The Tenrec Sounds(梅木、水本、横田)出演:梅木大成、小沢拓郎、田中羊一、伊藤哲郎、笠原隆史



監督:井上真行
【シンプルな映像の中から炸裂した本音がほとばしる】
肺炎で苦しむ男25歳。いかに世知辛い世の中でであろうとも、表面的には日本国中が目出度さ一色となる正月だというのに、医者からの入院宣告にビビるだけで精一杯の彼。自作の詩に興味を示した女子高生とのコンタクトも、彼の憂鬱な人生観に変化を来すまでには至らない。『紀子の食卓』で現代日本の家族の崩壊と再生を極限まで活写した園子温監督が、若かりし日にセンセーショナルに発表した自主作品『俺は園子温だ!!』を彷彿とさせるナルシスティックな主人公のキャラに惹かれる者は間違いなく存在するだろう。まさに自主映画の原点とも呼ぶべき世界観。ここにハマったら最後、活性化し続けるあなたの脳の回転を制御するのはもはや不可能だ。
2006年/ビデオ/29分/カラー 英題:Exit Tense
監督・脚本・編集:井上真行
撮影:井上真行、大西 徹、清水尚貴、福田和美、太田博之 音楽:裸同然出演:井上真行、三丸真功、藤本弥生、井上家の人々



監督:白取知子
【接点のなかった4人の中学生 彼らの出会いが変化を生み出す】
母子家庭で育つ中学2年生のミオ。引っ込み思案で自分の気持ちがなかなか正直に出せない彼女は、美術系の高校への進学を密かに希望している。授業をさぼりがちなテツヤといつしか会話を始めるようになる彼女。そのテツヤは同じクラスの女子ユカたちからキモいと言われ続ける男子オヤマダに親近感を持ち始める。そして、ユカはひょんなことからミオと行動を共にするようになっていく。性格も異なり、それまで接点のなかった同じ学校の中学生4人が、それぞれに関わりを持つことで、少しずつ内面的にも変化が生じていく。感受性とは言葉で表すと空虚に見えがちなものだが、それぞれの子供たちの他者からは見えにくい心の傷と癒しの可能性が丁寧に描かれている。
2006年/ビデオ/57分/カラー 英題:Parallel Rhythm
監督・脚本・編集:白取知子撮影:安達 健 音楽:吉田 空 助監督:須藤和美出演:麻生菜穂美、戸川 真、三ツ木孝輔



一京・かざあな
監督:多久間知宏
【嘘つき男の偶然の旅の行方は……】
自己チュー男ハチスガは、昔の女の葬儀に向かうべく若いカップルの車をヒッチハイクするが……。口から出まかせばかり繰り出すハチスガに人間の滑稽さが凝縮。この愛すべき男の成長(?)をスリリングに描くコメディ。
2007年/ビデオ/35分/カラー 英題:Live a Lie
監督・脚本・編集:多久間知宏撮影:伊藤裕満 録音:玉井玲央 出演:吉岡睦雄、涌井友子、圓若 創、広田淳也、牧野博幸







監督:内田伸輝
【どろどろの恋愛模様にのたうつカメラ】
他愛無い若者の日常、なのにヌーベルバーグの恋愛映画みたい? 肉体と言葉と重苦しい感情や記憶を持て余す男女が、役者の身体を通して生活し呼吸する。移ろう人心の交差、時間光、風、声、皮膚感覚の映像が機微を映す。
2007年/ビデオ/94分/カラー 英題:Kazaana
監督・構成・プロット・撮影・編集:内田伸輝 キャストダイアローグ:鍋山晋一、秋桜子、山内洋子、赤穂真文、内田伸輝
音楽:斉藤哲也 スチール:斎藤 文 演出補佐:鍋山晋一 制作:ブラザーズ企画出演:鍋山晋一、秋桜子、山内洋子、赤穂真文






トラとホットケーキ・Scherzo/スケルツォ
監督:堀本太地
【朝出会った人と1日で友達になる方法】
食わせ者Kと人見知りNの同居先に自己中Tが参入。3人はボードゲームの駒のように日常空間を広げ、想定外の旅を展開し始める。観察眼と生活感、因子と確率に遊び、緻密にデザインされた夢心地のおとぼけロードムービー。
2007年/ビデオ/55分/カラー 英題:Tiger and Pancakes
監督・脚本・撮影・編集・音楽:堀本太地録音:新谷秀貴
プロデューサー:川口達平 出演:山本 徹、近藤康太郎、川口達平、田中智明、鈴木宏侑







監督:平波 亘
【もてすぎる山岡の周りで起こる事件の山】
明らかに付け鬚の男。金髪のヅラを被って英語を喋ってる女。全てが嘘臭いのにリアルに感じる日常。
観客を最後まで突き放した語り口が斬新でハイセンス。不気味でシリアスなのに笑える摩訶不思議な新感覚コメディ。
2007年/ビデオ/75分/カラー 英題:Scherzo
監督・脚本・編集:平波 亘撮影:草川弘之 音楽:エディ
録音:井上貴恵 出演:豊岡憲人、中村邦晃、土屋 壮、山田慶子、井上貴恵、山本ゆめ、小島一洋、Pramosh Basnet、鈴木慎一郎、加藤和彦、守富龍人、星野祐毅、ねお、牧野弘毅、高階祐子





蝉顔・天狗の葉
監督:野田賢一/角田裕秋
【最近の人面瘡の流行を知ってますか?】
心のチアガールを支えに漫画家を夢見るへなちょこ青年が、突如親の庇護を解かれホームレスに。最大の敵は自己の中! キュートな不細工キャラが妄想力で世の闇に巣食うモンスターと対峙、夢を持てない甘え世代を救う?
2007年/ビデオ/56分/カラー 英題:Semigao
監督・撮影・編集:野田賢一、角田裕秋脚本:野田賢一
音楽:コアントロー、後藤光秀 出演:坂元祐介、江上聖和、大澤友梨恵、角田裕秋、龍崎 俊、加藤晃央、有賀 史、鏑木悠利、千代延和義、久保木ヒロト、野田賢一、引野 茜








監督:斉藤貴志
【団地の子供は黒い幽霊をみたい】
少年と少女には秘密の隠れ家があった。一緒に過ごす時間が何よりも大切だったはずなのに、彼らは緩やかにすれ違っていく。幼いふたりの孤独が一瞬交差する“壊れやすい時”を、繊細な手つきで画面に留めうる稀有な存在の登場。
2007年/ビデオ/71分/カラー 英題:Tengu Leaf
監督・脚本・編集:斉藤貴志撮影:栗原良介 音楽:gO、eje
出演:今村蕗子、岡田脩平、内田淳子、佐藤零郎






ケイコワ・ゲンツウ・つつましき生活
監督:三宅佑治
【子供は親の見栄の道具であることもある】
ケイコは親の期待を一身に背負ったエリート小学生。良い成績をとるケイコは母親の自慢のタネだ。だがそんな母親をケイコもまた自慢する……。お互いが利用しあう親子関係を風刺した、キモかわいい切り絵アニメーション。
2007年/ビデオ/9分/カラー 英題:Keiko Is
監督・脚本・編集:三宅佑治撮影・描画:三宅佑治、林 健一郎
音楽・録音:高崎了輔 ピアノ演奏:馬場哲晃語り:伏見 武







監督:岩永 洋
【愛しい人を亡くして感じる痛みを知るために】
日々の暮らしの中に亡き夫の存在を確かに感じる老婆。手足を失ってもその存在と痛みを感じる現象に似て、夫の存在感が彼女を支え、また、耐えがたい喪失の痛みをも引き出すことを静かに綴る感動作。
2007年/ビデオ/36分/カラー 英題:Gentsu-Phantom Pain-
監督・脚本・編集:岩永 洋撮影:濱井 江 音楽:青木慎太郎
照明:名久井一允 録音:町 賢治 助監督:堀越希美恵
制作:加瀬仁美出演:松尾まさ子、沼尾義彦、荒井眞理子、大嶋守立





監督:森岡 龍
男二人のアパートにはときどき山羊が出る男2人の、笑えるほど濃密な共同生活を描いたこの作品は、“永遠なんかない”ことを知っている。だからこそ、この鬱陶しいほどに戯れる2人の時間は、せつなく愛しい。これは、おかしくも美しい愛の映画なのだ。
2007年/ビデオ/43分/カラー 英題:Stooges
監督・脚本・編集:森岡 龍撮影:守屋かれん
音楽:高野滋人、フィリピンジャズ 録音:村本安奈 照明:米光将輝
美術:中嶋祥子 制作:市川香澄 助監督:白井晴幸 記録:大濱絵里
出演:市川祐太郎、芳賀佳祐、市川香澄、高橋由佳、山本美月、池場太貴、平井信治、荻本沙耶、メェ子、米光将輝、白井晴幸 録音:町 賢治
助監督:堀越希美恵 制作:加瀬仁美出演:松尾まさ子、沼尾義彦、荒井眞理子、大嶋守立






死ぬほど好きだよ、おねえちゃん・マイム マイム
監督:尾﨑香仁
【異様な緊張が継続するある家族の愛の姿】
姉への異常な執着をもつ主人公を通して見えるのは、日本社会の縮図とも言える病んだ家族。現代人特有の“見捨てられる不安”をダルデンヌ兄弟のようなドキュメンタリータッチで描く本作は、唾を飲むのを忘れるほどスリリング!
2007年/ビデオ/49分/カラー 英題:My Sister's Wedding Day
監督・脚本・撮影・編集:尾﨑香仁助監督:田中博之
撮影助手:加藤 信出演:村上征人斗、髙橋友美、丹下美枝子、金子 浩








監督:岨手由貴子
【女ってまったく……と言われてこその自立】
恋人とも家族や友達ともしっくりいかないマコト(♀)は、再会した幼馴染みの男の子とキャンプに行くが……。「ただアタシたち、暇なんだよ」と呟くマコトの、自分を持て余す心に深く軽やかに寄り添う距離感が絶妙。
2007年/ビデオ/87分/カラー 英題:Mime-Mime
監督・脚本:岨手由貴子撮影:古庄琢磨 編集:岨手由貴子、川嶋大輔
音楽:宮内優里 衣装:竹内優貴子 照明:上原宏光 録音:小森良太、百小山真人出演:新島亜矢子、山副昌久、津田寛治、久我朋乃、安田里子、信岡花衣、今井友香、横尾三郎、須田浩章






舞いあがる塩・GHOST OF YESTERDAY
監督:水本博之
【世界の終わりに向かうのか……】
砂塵が吹きすさび、空さえ褐色の世界。ドローイングやパペットをまじえ、精緻に作り込まれながらもざらついた肌理を見せる映像と、荒れる風音にまぎれて聞こえる低い声に誘われながら、ただひたすら西へ向かう旅。
2007年/ビデオ/18分/カラー 英題:Salt Lake Screaming
監督・脚本・編集・語り:水本博之





監督:松野泉
記憶に欠落がある母のために高校生の娘はある企みを思いつくが、19歳の兄はその企みに乗れず、煩悶する。家族ごっこの筋立ての中に、善人たちの小さな嘘、大きな嘘、爆発しそうなココロを丁寧に描写した労作。
2006年/ビデオ/130分/カラー 英題:Ghost of Yesterday
監督・音楽:松野 泉脚本:松野 泉、伊月 肇 制作:伊月 肇、園部典子
撮影:高木風太 照明:浅川 周、木村 卓 録音:佐藤真樹子 美術:塩川節子
衣装:葛原亜也子、則定加奈子 メイク:板持恵子 助監督:松下周平、保木明元出演:西村仁志、寿 美菜子、玉置 稔、原 尚子、松尾みね、藤野ひかり、林 利隆、岩田浩一、佐々木嘉子、井内菜摘、高寺裕司、茨木佳津枝






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